日常をくすぐるスパイスを届けるWebメディア|ブラトラ

TRIP

奄美小噺 Vol.7 Have(ハブ) a nice trip!

新緑や花々が美しく、穏やかな気候になりましたね。レジャーに最適な季節がやってきました!奄美も一年で一番気候が安定する時期になり、自然観察にはもってこいの季節です。人々の活動が活発になる今、奄美では有名な怖〜いアレも活発な時期になります…

この時期、奄美ではハブに注意!

奄美群島の中の奄美大島・加計呂麻島・請島・与路島・徳之島にはハブが生息しています。ハブの活動期は4〜6月、9〜10月と言われていますが基本的に年中出ると思っていたほうがいいです。冬は動きが鈍りますが、冬でも出ることがあります。

ハブは直射日光に弱いので陽の当たる場所ではあまり出没しないのですが、日陰になっている場所や涼しく湿度のある場所でよく出るため、道路脇の草が生い茂っている場所など注意が必要です。道路はなるべく中央寄りを歩くようにしましょう!小さな子供を連れて自然観察をする場合など、子供が一人で草むらに入らないよう注意してください。

ハブは全身の筋肉を使い弾丸のように飛んで獲物に咬みつくことから、奄美ではハブに咬まれることをハブに「撃たれる」といいます。自分の体長の3分の2の距離までは飛ぶように攻撃するので、もしハブを見つけた場合には1.5〜2m以上の距離を保つようにしましょう。

またハブは夜行性のため夜間は特に注意が必要になります。夜間の自然観察はガイドが同行してくれるナイトツアーに参加するなど、島のことをよく知っている人と一緒に行いましょう。

島人とハブ

奄美大島を代表する伝統工芸品「大島紬」の代表的な柄「龍郷柄」は、ソテツの葉とハブの背模様をモチーフにしたとも言われています。このことからも分かるように昔からハブは島人の生活に密接に関係してきました。

以前奄美の自然を紹介した記事にも書いたようにハブのおかげで豊かな自然が現在まで守られてきたということもあり、島人にとっては毒蛇「ハブ」は怖い存在だけではなく「森の守り神」と呼ばれたり「富をもたらす縁起物」とも言われ、親しまれている存在でもあるのです。

ハブの皮(蛇の皮)やハブ製品を身につけると金運が上昇し、魔除けにもなると言われており、奄美にはハブの皮をお守りや小物に加工したり、ハブの骨を使用したアクセサリーなどがお土産として人気があります。私も一時期お財布にハブのお守りを入れていましたが、私にはあまり効果は無かったので個人差があるようです…

ハブが薬に!?

ハブは水だけで1年以上も生き抜く驚異的な生命力を持っていることから、昔から滋養強壮の薬としても重宝されてきました。驚くことに必須アミノ酸全9種類、豊富なビタミンB12・B2など他にも豊富な栄養素が含まれているんです。疲れやすい時などに効果があるそう。

またハブから取れる油は肌トラブルによく効くと言われ、昔から塗り薬として使われてきました。切り傷・ヤケド・水虫といった肌トラブルに効果があり、化膿した傷などに塗ると一晩で治る、と言われるほど効くのだそう。昔はハブを捕って自分でハブ油を作っている家庭もあったそうです。祖父はハブの臭いが苦手だったらしくハブ油は使用したことがなかったそうですが、曽祖父は猟師だったこともありハブ油を使っていたようです。

ハブ粉やハブ油の存在は知っていたのですが実際に使用したことはありません。私の父も使っていなかったので、ハブ粉やハブ油はゲテモノ好きな人向けにお土産として売っているものなんだろうなぁ〜と思っていました。今回ハブについて調べてみて、昔から「薬」として島人の生活にも馴染みがあるものだと知りとても驚きました。

ハブはお小遣いにもなる!?

島人の車や家には必ずといっていいほどハブ捕り棒とハブ捕りボックスがあります。これはハブに遭遇した際に危険を回避するために使用するものでもあるのですが、生きたまま捕まえるのには理由があります。奄美ではハブを生きたまま捕まえると自治体やハブを取り扱う業者さんが買い取ってくれるというサービスがあるのです。(※奄美に住民票を持っている人だけが受けられる制度です。)

自治体の役場や保健所にハブを持っていくと1匹3000円で買い取ってもらえます。1.5m以上の大きなハブはハブを取り扱う業者に持っていくと高値で買い取ってもらえるため、小さいサイズのハブは役場で、大きいハブが捕れたら業者へ持っていくのだそう。島人にとってハブは怖い存在でもありますが、ちょっとしたお小遣いにもなるありがたい存在でもあるんです。中にはハブハンターとして生計を立てている人もいるみたいです。危険も伴うハブ捕りは、ハブの生態や奄美の自然を知り尽くした島人にしか出来ない妙技なので決して真似はしないでくださいね。

怖いけど親しまれている奄美のハブ。昔から奄美の人々はハブと共生してきました。島に住んでいるとハブを頻繁に見かけるの!?と思われるかもしれませんが、普通に生活している分には滅多に遭遇することはありません。私もこれまでにハブと遭遇したのは1〜2回ほどです。最初の方に記述した通り、むやみに草むらに入らない、特に朝方や夕方以降の涼しい時間帯はなるべく道路の真ん中を歩くようにする、という事に気をつけるだけでも大体安心して過ごせます。ハブのことを正しく知り怖がりすぎず、奄美での観光を楽しんでくださいね!

Have a nice trip!

コメント

この記事へのコメントはありません。

RANKING

DAILY
WEEKLY
MONTHLY
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5

RELATED

PAGE TOP