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ESSAY

東京最古といわれる居酒屋。庶民のために開かれた酒場に酔いしれる【吉田マッスグの酒場のスペシャリテ】

みますや【東京都・小川町】

関東大震災後に建てられた看板建築に提灯と縄のれん。土間が広がる店内には神棚が飾られ、建物の一部には先の戦火で黒く焼け焦げた柱の一部が残っている。ここは、創業明治38年、東京最古ともいわれる居酒屋【みますや】。酒場としての風格があり、由緒正しい酒場ではあるが、ここはあくまで大衆酒場。その扉は、誰にでも開かれている。

事実、三代目の岡田勝孝さんはこの店についてこう話す。

「小さい時は、この店の土間も自分の遊び場だった。よく蝋石で絵を書いたりしていてね」

決して特別な場所ではなく、【みますや】は日常のなかに佇んでいる。それは、ここに通う客にとっても同じである。

「戦時中、この店にも火の粉がふってきたと聞いています。すると、近所に住む酒飲みたちがバケツリレーで水をかけ、なんとか類焼を食い止めたと聞いています」

当時、統制下にあったため、【みますや】がなくなっては酒が飲めなくなると、酒飲みたちは必死だったのだろう。そうして下町の暮らしのなかで紡がれてきた、大切な酒場なのだ。

「職人の町でしたから、昔は一杯、二杯ひっかけて帰る方が多かったんです」

柳川鍋、馬刺し、コハダ酢、牛にこみ……。岡田さんが自ら筆をとった短冊には、これぞ大衆酒場といった名物が揃う。それでもメニューはざっと80種ほどあり、丁寧に手づくりされる料理と美しい短冊からは、お客を大切にしようという気持ちが見て取れる。

かつて戦火をくぐり抜けてきた東京と代表する名酒場は、いまコロナという大きな壁も乗り越えようとしている。大切に守られてきた大衆酒場の空間とともに、旨い酒肴とじっくりと向き合いたい。

<店舗情報>

みますや

東京都千代田区神田司町2-15-2
営業時間:11:30~13:30、17:00〜
定休日:日曜・祝日

※吉田マッスクの酒場のスペシャリテは隔週火曜日の更新になりました。あらかじめご了承ください。

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