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奄美小噺 Vol3 奄美の七夕

今日は七夕。

今日は7月7日、七夕です。七夕は星祭りとも呼ばれ、ひな祭りやこどもの日と並ぶ五節句の一つです。

♬笹の葉さらさら〜のきばに揺れる〜♪と懐かしい歌を口ずさみたくなります。短冊に願い事を書き笹の葉に七夕の飾りつけをする時間は、子供から大人までとても楽しい時間ですよね。織姫と彦星が1年に一度再開できる「七夕」はなんだかロマンチックな行事です。

奄美では七夕も旧暦の7月7日(今年は8月14日)に行うのですが、奄美の七夕は織姫や彦星よりも先祖やお盆と深い関係があります。

七夕飾りは帰る場所の目印

奄美でも七夕飾りは本土と同じように笹に飾り付けをします。山でコサンダケ(本土の方ではホテイチク(布袋竹)という)と呼ばれる細い竹を切ってきて、各家庭で飾り付けをし軒先や玄関先へ飾るのですが、屋根ほどの高さのある約3〜4メートルほどの長い竹を使用します。ご近所や知り合い同士で声を掛け合って竹を分けあったり、最近では量販店などで七夕用の竹を販売しているところもあります。

旧暦の7月7日の朝、家族みんなで七夕の飾り付けをします。飾りの付いた竹はとても重く、立てるのも一苦労。我が家ではいつも父が玉の汗を流しながら七夕飾りを立てています。七夕の日に集落内を歩くと、各家庭の七夕飾りが風に靡きキラキラと町が華やぎます。同系色で飾りを統一している竹や、吹き流しだけを飾っている竹、キラキラと光るラメ系の飾りをたくさん飾っている竹など、その家の個性が光ります。

奄美の七夕飾りはご先祖様への目印として飾るため、旧暦の七夕の朝(今年は8月14日)から、旧暦のお盆の入りの日(8月20日)まで飾ります。

空から見ているご先祖様へ向けて「ここがあなたの帰ってくる家ですよ!迷わず帰ってきてくださいね」という目印として飾るのです。奄美では昔から、ご先祖様は旧暦の7月7日にあの世を出発し、この七夕の飾りを目指して旧暦のお盆の入りの日に家へ帰ってくると言われています。そのためご先祖様が迷わないよう、少しでも空へ届くように長い竹を使い、目立つようにと風に靡く吹き流しや長い飾りを多く飾ります。

そして少しでも早く目印となる七夕飾りを立てるため、この日は朝早くから飾り付けをするのです。昔は集落内で一番早く立てた七夕飾りを「一番上げ」と呼び、競い合う集落もあったそうです。

ご先祖様への思い

奄美では「神拝みゅんくま、親拝むぃ」ということわざがあります。神様に願をかける前に、まずは親やご先祖さまを尊び崇めなさい、という意味です。ご先祖様のおかげで今の私たちが存在できている、という感謝の気持ちを昔から大切にしてきたことが分かります。島の人にとって七夕はご先祖様へ思いを馳せる日なのです。

毎年8月に旧暦の七夕があるので、前日から家族みんなで折り紙や紙テープなどで七夕飾りを手作りしたのが今でも楽しい夏休みの思い出として残っています。今では夏に帰省した際、私の子供達も一緒に七夕飾りを作るようになり毎年恒例の奄美での夏のイベントとなっています。今はこの七夕の意味が理解できなくても、大人になり自分の子供ができたとき同じように「ご先祖さまのおかげで自分たちが存在している」という大切な想いを、ずっと紡いでいってくれたらいいなと思います。

今年の7月7日は天の川を眺めながら、ご先祖様へ思いを馳せてみてはいかがでしょうか?少し特別な時間になるかもしれませんよ。

文:佑美 イラスト:Yu Ikari

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