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日本一「土俵」が多い島、奄美大島。

2年前に世界自然遺産に登録された奄美大島。奄美といえば美しい海や固有種がたくさん生息する手付かずの自然が有名ですが、もう一つ有名なものがあります。それは「相撲」です。

え!?なにそれ??と思う方もいるかもしれませんが、実は奄美大島は「日本一土俵が多い島」であり、相撲がとても盛んな島なんです。

島人と相撲

奄美大島と加計呂麻島の土俵の数を合わせると約140近くあるのだとか。小さな島にどうしてこんなに土俵があるのか。それは奄美の行事に関係してきます。

奄美の多くの集落では、旧暦8月15日や敬老の日(毎年9月中旬〜下旬ごろ)にある豊年祭の中で相撲をとります。そのためほとんどの集落に土俵があるのです。

私の育ったシマ(集落)には、小学校に1つと集落の人たちが集まる公民館に1つ、合わせて2つの土俵があります。

小学生の頃には毎年「相撲大会」があり、男女関係なく相撲をとりました。女の子は体操服の上からサラシをベルトのように腰に巻き相撲をとりました。(ちなみに私は相撲はとるより見る方が好きです。)シマのおじいちゃんおばあちゃんが大きい声で笑ったり叫んだり、シマの行事の中で運動会より盛り上がる行事だったのを覚えています。

弟は小学校4年生の時、小柄な体格ながらも6年生に勝ち小学校の相撲大会で優勝しました。優勝した子の家ではその夜にお祝いをするのですが、お祝いには地域の人や小学校の先生たちみんなが入れ替わり立ち替わり来て遅くまで宴会をします。シマでは相撲で勝つということはとても誇らしいことなのです。

郵便局に勤めていた祖父は相撲が大好きで、弟が優勝した翌日から郵便局に来るお客さんが「ヤーぬ孫や(あんたの孫は)、ヤー(あんた)と同じ技相撲(力ではなく、技で勝つ相撲のこと)で強いね!さすがじゃや〜」とみんなが言ってくれるので、鼻高々で窓口に座っていたのだそう。

当時のことを私は全然覚えていないのですが、このことを嬉々として話す母を見て、祖父の嬉しそうにはにかむ笑顔がはっきりと脳裏に浮かびました。

シマ(集落)のエンタメ「豊年相撲」

9月の敬老の日には公民館の土俵で「豊年祭」が行われます。豊年祭の中で、その年に生まれた男の子に小さな化粧まわしをつけ、父親が抱っこをし赤ちゃんの足を土俵にチョンチョンとつけて土俵入りをします。大泣きする子、ニコニコしている子、何が起こっているか分からずムスっとした顔をしている子、いろんな表情をする赤ちゃんたち。見ている観衆も手を叩いたり笑ったりとても和やかな時間が流れます。

奄美にはこの日の土俵入りのための化粧まわしを制作するお店があります。最近は大島紬の生地に子供の名前を刺繍して化粧まわしを作る人も多く、男の子の一歳のお祝いに祖父母が化粧まわしをプレゼントすることも多いんですよ。

赤ちゃんの土俵入りが終わると、その日に相撲をとるシマの力士たちが一列になって踊りながら土俵の周りをまわります。これを「なかゆり(中入り)」と言います。

なかゆりの後はシマの力士たちが五穀豊穣や無病息災を願って「豊年相撲」をとります。和やかな時間から打って変わり、会場が一気に熱気に包まれます。おじいちゃん、おばあちゃんが身を乗り出し、手を叩き大きな声で声援を送る姿は今も目に焼きついています。相撲はシマの老若男女みんなが盛り上がれるシマのエンターテイメントなのです。

奄美の相撲の歴史

奄美の相撲の歴史を調べてみると、奄美群島の中でも島によって取られていた相撲が違い、一般的な「立ち会い相撲」と、沖縄で主流の「組み相撲」の二種類がとられていたそうです。

「立ち会い相撲」とは、皆さんも一度はきっと見たことがあるであろう、まわしを締めて取組を行う一般的な相撲のことです。一方、沖縄で行われている「組み相撲」というのは、柔道着を着て帯を締めて取組を行います。技をかけて背中(両肩)を地面につけると勝ち、試合時間は5分で3本勝負を行い2本取れば勝ち、という一般的な相撲とはルールも格好も全く異なります。

この記事を書くまでは奄美の相撲の歴史や「組み相撲」については全くというほど知らなかったのですが、琉球と本土の文化が混ざり合っている奄美大島ならではだなぁと感じました。

角界で活躍する島人力士

このように常に土俵のある景色に慣れ親しんでいる島人たち。相撲がとても身近にあり盛んなので、角界から相撲部屋へスカウトに来たり、角界で活躍する奄美出身の力士がたくさんいるんですよ。

私の同級生にも力士になった友人がいて、十両に上がった時には東京にいる同級生で友人の四股名が入ったタオルを作り国技館に応援しにいきました。引退する時にはみんなで断髪式に参列し、寂しい気持ちと誇らしい気持ちで涙しました。力士になり頑張っている姿は、島人みんなのヒーローです。

現在でも奄美出身の現役力士がたくさん頑張っています。明生、大奄美、千代ノ皇などなど他にもたくさんいるのでぜひ注目して見てもらいたいです。

今回は「相撲」という少し変わった視点で奄美を見てみました。いかがでしたか?

奄美のどのシマ(集落)に行っても土俵がある光景は私にとっては当たり前の光景だったけど、とても特別な光景だったんだなぁと改めて思いました。

奄美へ訪れた際は美しい自然と共に、土俵や相撲にも少し注目してみると面白い発見があるかもしれません。

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