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ESSAY

鹿児島のペンタゴンならぬオクタゴン! 名物カウンターと「白金乃露」に酔いしれる!【吉田マッスグの酒場のスペシャリテ】

はる日【鹿児島・天文館】

鹿児島に来たら必ず『はる日』へ来る。

初めて取材で訪れた時は、同じ日に2度足を運んだ。

取材後、仕事仲間とそのままこの店で飲み、ホテルに帰った数時間後、再び『はる日』へと向かった。 どうしてもひとりの時間を過ごしてみたくなったのだ。

「あら、また来たの?」

そんな女将の抑揚のない対応がいい。悪く言えばそっけないが、よく言えば誰が来ても同じ。マイペースなところが自分の性格にもリンクする。

店の中央にあるカウンターは、日本広しと言えどここだけであろう、正八角形型。

その一辺が厨房と行き来できるようになっており、女将はカウンターの中に腰を下ろし、酒飲みをもてなす。

この形が最高なのだ。横一列に並ぶ直線的カウンターと異なり、正八角形だと客同士の顔が見える。

その点、コの字カウンターにも似た魅力があるものの、正八角形では座っていながら女将はどの客も視線の中に収められる。つまり、誰のグラスが空いたか、飲みすぎてはないか、どんな話をしているのか、すべてを把握できるのである。まあ、かくいう女将はテレビに夢中だったりもするのだが、それもやはり魅力である。

このカウンターにひとりで座りたかった。

何せこの形だと、店に一体感が生まれる。互いの顔が見えるだけでなく、隣り合っている感覚も生まれる。ゆえに一人ひとりがこの店の空気をつくっていることが、無意識の中で共有される。

知らぬ土地で、はじめての酒場で、地元の空気に包まれる瞬間。それこそ地方の酒場へ訪れる魅力じゃないだろうか。

カツオのハラスをつまみに、芋焼酎の「白金乃露」のお湯割りを飲る。

酔いが進むにつれ、自然とこの店に馴染んでいくのが分かり、心地よさが増幅していく。

“鹿児島のオクタゴン”は、遠方の客をもじわりと地元の空気に染めていく。

<店舗情報>

はる日
099-225-2582
鹿児島県鹿児島市東千石町6-11
営業時間:20:00~翌3:00
定休日:不定休

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