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ESSAY

​これぞ名酒場の歴史的マリアージュ。70年以上愛される店の2大名物とは?【吉田マッスグの酒場のスペシャリテ】

兵六【東京都・神保町】

たかが「餃子」などと、あなどってはいけない。「酒場の餃子」と書けば、随分チープに感じるかもしれないが、ここ『兵六』のそれは別格だ。

『兵六』とは、神保町にある昭和23年の創業の名酒場。初代の平山一郎は戦前、上海に留学、現地では魯迅とも邂逅した人物で、戦後、日本へ戻り、紆余曲折ありながらこの『兵六』を開いた。そもそも大衆的な酒場ではあるが、その歴史や風格、酒場としての社交性が語られることが多い店であり、料理が旨いことでも知られている。

その代表格がこの「餃子」である。「炒菜(ちゃーさい)」「炒豆腐(ちゃーどうふ)」と並ぶ名物で、初代が上海で食べていた記憶の味を、ここ『兵六』でも出すようになった。

皮は手作り。やや丸みを帯びたフォルムが愛らしいもののパリッと焼き上げられた焼き目が美しく、老舗酒場の威厳を放っている。餡は肉々しくも、さっぱりとしていて、酢醤油につけて味わうと、これが酒によく合う。

合わせるのは、初代の出身地である鹿児島の芋焼酎「さつま無双」。アルマイトの薬缶で出される白湯を猪口に注ぎ、徳利から「さつま無双」を加え、お湯割りで飲る。

この組み合わせこそ、創業当時から続く『兵六』の伝統のマリアージュ。およそ70年前の創業当時、マリアージュなどという言葉を使っていた日本人はいただろうか。しかし、『兵六』ではその昔からこの組み合わせが無意識のなかで、愛されてきた。夏だろうと関係ない。この熱々の「餃子」と「さつま無双」のお湯割りは、唯一無二の至福を酒飲みにもたらしてくれる。

酒場のカリスマ・吉田類氏が名付け親となり、 酒場好き編集者が、酒場をめぐり、酒場を語るときにだけ許された酒場ネーム、それが吉田マッスグ。その吉田マッスグが東京を中心とした酒場のスペシャリテを紹介。空間、大将、女将、酒、ロケーション……。酒場のスペシャリテは料理だけにあらず!

<店舗情報>

兵六

 東京都千代田区神田神保町1-3
営業時間:17:00~22:30
定休日:土曜・日曜・祝日

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