父はデザイン会社を営んでいたグラフィックデザイナー、母はイラストレーター、長女はBLATRAにこの秋から参加するイラストレーターで元インテリアテキスタイルメーカーの企画開発兼デザイナー、次女はデザイン科で教鞭をとる現役の大学講師であり、元大手デザイン会社のグラフィックデザイナー。
このような経歴を持つ一家が、最初で最後の家族展を、明日から名古屋市内のGallery Marquiseで開催。会期は2020年12月9日（水）〜13日（日）。
こんな時代だから、家族の愛を
Gallery Marquiseは2019年春、名古屋市昭和区にオープンしたコンクリート打ちっぱなしのモダンなギャラリー。ギャラリーがあるこの地で家族全員がアートに関わって暮らした伊藤家一家が、家族の記念として最初で最後の個展を開催する。
娘に見せる背中、父のこだわり12年分の年賀状
デザイン事務所を営み、グラフィックデザイナーとして活躍した父がこだわって毎年作った年賀状、総勢12年分の年賀状が一堂に会すコレクション。聞くところによると、母がコツコツと整理して残していたものだそうだ。今回家族展を開くにあたり、いくつかのグラフィックポスターが新たに製作され、中には8歳の孫と共同制作した「家族展」にふさわしい作品も見応えがある。
家族をやさしく見守る母が描く暖かいイラスト
大型オーガニックスーパが発行していた温かみのある水彩イラストと描き文字で作られ、特徴的な表紙のフリーペーパー。そのイラストが今回壁面で展示されている。また、家族をずっと見守ってきた母が描く歴代の飼い犬たちのイラストとそのエピソードがまとめられたペーパーブックには、犬たちを通した伊藤家の様子が優しく記されている。
様々な分野にチャレンジする長女の独特の感性
ペン画を中心としたイラストがメインの長女は、テキスタイル的なニュアンスを取り入れた手描きのイラストをはじめ、近年新たに取り組み始めた銅版画の作品展示や有田焼ブランドとのコラボレーション絵皿が展示されている。この有田焼は今後販売されるとのこと。展示作品には既に買い手のついた作品も参考出品されているが、一部作品の購入は可能。
真面目にコツコツ取り組み、作り込む次女
物静かにコツコツ考え、作り込まれた次女のポスターは、家族の作品の中ではちょっとシャープに思えるテイストだ。父と母、そして姉の背中をみて育った彼女は”伊藤家の感性”を全て見て育った末っ子。時に、姉や父にダメ出しされながら築き上げた学生時代の感性が礎となり、これまで積み重ねてきた経験が今回の作品にも現れているのだろう。彼女の心の引き出しにある家族から受けた愛と感性を今、次の世代へ教えている姿が想像できる。
特徴的なオリジナルグッズが買えるチャンス
今回の個展では、いくつかの展示作品も購入できるそうだ。さらには、次女の作品がポストカードやマグカップとなってグッズ販売される。さらには姉妹の共同プロジェクト、リメイク古道具の展示販売も同時に開催される。購入は早い者勝ちとなってしまうが、全てが一点もののここでしか買えない作品となっている。姉妹が以前東京 表参道で行った個展「二人ノ図鑑展 」で販売された作品も全てSOLD OUTとなる盛況ぶり。
家族の個性が滲み出る家族展
今回の家族展を開催するにあたって伊藤家に新たに加わった8歳の孫が題字を作成した。とてもよくできた題字で、8歳の女の子が作ったということを聞かされるまで気づかなかった。
さらに今回は、次女の夫による心地よい映像演出が会場に華を添えている。
作品の横には各々の似顔絵サインプレートが添えられ、伊藤家を知る人はあの暖かい家族像が見て取れるだろう。個を知る人にとっては、家族がお互いに影響受けている様が見て取れるだろう。そして、伊藤家を知らない人には、家族の愛をきっと感じ取れる、アットホームな個展となっている。
取材で訪れ観てまわると、親子のそれぞれ似ている感性が見てとれ、子を知らない人にも、親子の関係を想像しながら見て回ることができる今回の個展、「家族」の形を一味違った角度から感じることができ、「家族」という誰しもが持つ人間関係を改めて考える良いきっかけになるだろう。
最初で最後の個展、と銘打たれた今回の個展は残念ながら名古屋で開催される5日間限定だ。GoToトラベルを利用して、家族の愛を感じてみる価値はあるのではないだろうか。
Information
家族展
写真：Daisuke Kinoshita(PLUS ULTRA,inc)
会期：2020年12月9日（水）〜13日（日）
会場：Gallery Marquise
住所：〒466-0843 愛知県名古屋市昭和区菊園町5-16-1 エストメゾン石川橋1F
開館時間：
入場：無料
詳細はギャラリーWEBページ（https://www.marquise.co.jp）にてご確認ください
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