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奄美のゆく年くる年<年越し編>

早いものでもう12月。2021年も終わりに近づいてきています。今年もコロナに振り回された1年でしたが、7月には「奄美大島・徳之島・沖縄島北部及び西表島」が世界遺産に正式に登録されたり、オリンピック・パラリンピックも開催され明るい話題も増えたように感じた1年でした。

年末年始は大晦日に年越しそばを食べて年を越し、元旦にはお節料理や雑煮を食べて新年を迎えるという方が多いかもしれませんが、奄美には年越しそばやおせち料理を食べる習慣がありません。奄美では年越しそばではなく「豚骨野菜(ウヮンフネヤセ)」と呼ばれる煮物と、元旦にはおせち料理ではなく三献(サンゴン)というお正月料理を食べる慣わしがあります。

また、お正月に飾る門松も一般的なものとは少し違い、奄美独特の門松を飾ります。今回は奄美の年越しとお正月の習慣についてご紹介します。

奄美の年越し料理「豚骨野菜(ウヮンフネヤセ)」

奄美では昔から豚をよく食べる習慣があり、郷土料理にも豚肉を使ったものがたくさんあります。方言で豚のことを「ウヮン」と言い、その中でも代表的なものが大晦日に食べる「豚骨野菜(ウヮンフネヤセ)」です。

昭和中期ごろまでは多くの家庭が庭先で豚を飼い、年末になるとその豚をさばいて年越し料理やお正月料理にしていたそうですが、現在では精肉店やスーパーで豚の塊肉を購入するのが一般的です。

年末が近づいてくると、塩漬けされたソフトボールぐらい大きな塊肉を袋いっぱいに買う島人の姿が多く見られます。

「豚骨野菜(ウヮンフネヤセ)」は調理する前に塩漬けされた豚肉を水に晒し塩抜きをするのですが、この塩抜きの加減が味の決め手となります。抜きすぎると味が薄くなるし、水に晒す時間が短いと塩辛くなるんです。

私の母も塩抜きに一番気を使いながら毎年作っています。我が家では庭で父が七輪に炭を起こし、そこで大きな鍋で塊肉を半日ほどかけてじっくりコトコト煮込みます。炭と豚肉の美味しそうな香りが一日中漂うと「大晦日だなぁ」としみじみ感じます。

付け合わせの野菜は蕗の茎(方言でツバシャ)や大根などと地域や家庭によって違います。蕗の茎は根深いので「末長く」、大根は輪切りにして「一家円満」と願いを込めて、この二つの野菜が付け合わせとして昔から伝えられてきたそうです。奄美の北部の一部地域ではアザミを付け合わせにするところもあるそうです。

味付けも各家庭で違い、豚の角煮のようなたまり醤油で濃い味付けにするご家庭もあれば、豚の旨味と薄口醤油だけのシンプルであっさりとした味付けにするご家庭があります。

我が家のウヮンフネは、塩漬けされた豚肉の旨味と塩味で味付けをしたとてもシンプルで優しい味わいです。厚切りに切った大根と細く割いた蕗の茎・丸ごとジャガイモを付け合わせにしており、半日かけてじっくり煮込んだ豚肉は箸で持っただけでホロホロになり、大根やジャガイモは芯まで味が染み込んでいて「奄美風おでん」といった感じでとっても美味しいんです。1年の締め括りに家族でこれを食す時間がとても暖かくほっこりとする時間で、私の大好きな時間です。

子供の頃は祖父母と一緒に住んでいたので、大晦日の夜は豚骨野菜を一緒に食べながら、格闘技好きの祖父と一緒に、年末の格闘技番組を見て盛り上がっていました。そんな年末のひとときは1年の中でも特別な楽しい夜で、大好きな祖父とのとても大切な思い出です。

明日は奄美の新年、お正月料理についてお届けします。

文:佑美 イラスト:Yu Ikari

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