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奄美だけが名乗ることのできる黒糖焼酎

空気がすっかり秋めいてきましたね、おいしい食べ物がたくさん増えてくる季節。実りの秋、食欲の秋。今回はそんな食欲をさらに刺激する奄美の「黒糖焼酎」について紹介します。

黒糖焼酎とは?

焼酎には芋焼酎、麦焼酎、紫蘇焼酎…と言った色々な種類の焼酎がありますが、奄美大島で作られている焼酎はサトウキビから作られる純黒糖を原料とした「黒糖焼酎」です。「黒糖焼酎」は酒税法上、奄美群島でのみ製造が許されています。そのため他の地域で作ったとしても「黒糖焼酎」と名乗ることはできないのです。

黒糖焼酎は原料に純黒糖を使っていますが、お酒の中に糖分は含まれていません。黒糖を使っているのに糖分ゼロなの!?と不思議に思う方も多いかもしれません。その理由には黒糖焼酎の製法「単式蒸留」に秘密があります。

「単式蒸留」とは適度にアルコール発酵したもろみを蒸留釜で熱し、アルコール分を含んだ蒸気を冷やしてお酒にするという方法です。蒸留される過程の中で、旨味や香りなどの揮発成分以外の糖分やエキス分が取り除かれるため「糖分ゼロ」となり他のお酒と比べてカロリーも低くなります。

「低カロリー」で「糖分ゼロ」だけど、黒糖由来のほのかな甘みと香りがあり、スッキリとした味わいの黒糖焼酎はダイエット中の方や女性にもオススメなお酒です。

と、ここまで「黒糖焼酎」についての説明をしてきましたが、実は私はお酒が飲めません…飲めないのにお酒のこと書いてるんかい!?と思われそうですが、黒糖焼酎への想いだけは人一倍強いんです。なぜなら父方の実家が黒糖焼酎を造る酒蔵だったからです。

祖父とわたし

農協の酒造場で黒糖焼酎造りに携わっていた祖父が昭和32年に酒蔵を創業し、父の兄である叔父が2代目、現在は叔父の息子が3代目として引き継ぎ、黒糖焼酎を造っています。

私が子供のころ祖父の家は酒蔵と併設されており、いつも麹やもろみの香りが漂っていました。今でもあの香りがすると祖父を思い出します。

酒蔵がいつも私たちの遊び場になっていて、かくれんぼや鬼ごっこをしてよく遊んでいました。一次仕込みをする大きな甕(かめ)やいくつも並んだ大きなタンクは、小さい頃はとっても大きく感じて少し怖かったのを覚えています。今は改装工事をしているので昔とは違っていますが、酒蔵へ行くととても懐かしく感じます。

高校を卒業してすぐ1週間ぐらいの短い間ですが、酒造の手伝いをさせてもらったことがあります。お酒のラベルを貼ったり箱に詰めたり簡単な作業でしたが、島を離れる前に祖父のお酒造りに少しでも関われたことが嬉しかったです。

祖父はそのころはもう現場に立っていなかったのですが、手伝いをする私を気にかけてくれたのか何度も私の作業を覗きに来ては声をかけてくれました。

祖父がどういう経緯で酒蔵を始めることになったのかという話を聞いたことがなく、詳しいことを父もよく知らないようなので、今となっては分からないまま…

あの時にもっと祖父と話をしていればよかったなぁ、もっといろんな話がしたかったなぁ…と思います。お酒は飲めないけど「黒糖焼酎」は私と祖父を繋げてくれる大切なものなのです。

黒糖焼酎の楽しみ方

お酒は飲めないけど、祖父との大切な思い出が詰まっている黒糖焼酎を楽しみたい…

飲めないなりに楽しめる方法はないのかなぁ?と工夫して、お酒が苦手な私でも楽しめる方法がいくつかあるので紹介したいと思います。

・黒糖焼酎のラムレーズン

お酒は飲めないのですが、ラムレーズンのアイスやレーズンバターサンドが大好きな私。ラムレーズンのラム酒も原料はサトウキビで黒糖焼酎と同じ!ということで、黒糖焼酎でラムレーズンを作っちゃえばおいしく食べられるのでは!?と思い作ってみました。

材料は黒糖焼酎とレーズンの2つのみ!(レーズンはノーワックスのものを使用します)清潔な瓶や容器を用意して、レーズンを入れ、レーズンがひたひたになるぐらい焼酎を注ぐだけ。フタをして冷蔵庫で保存し、最低でも1週間置いてから食べます。

刻んでバニラアイスに混ぜラムレーズンアイスにしたり、クリームチーズに混ぜたりして食べるととってもおいしいんです!アイスやクリームチーズに混ぜるときにクルミやアーモンドなどナッツ類も一緒に混ぜると食感も楽しめて更においしくなるのでオススメです。お酒好きの夫にもとても好評でした。

・黒糖焼酎のヴァンショー風

ヴァンショーとはクリスマスシーズンなど寒い時期に飲まれるもので、ワインにスパイスやフルーツを加えて熱した飲み物です。ホットワインとも呼ばれています。

熱するためアルコールが少し飛んでいて、お酒が苦手な私でも飲みやすく、スパイスのおかげで体がとてもポカポカと温まります。

これをワインの代わりに黒糖焼酎を使ってやってみたらどうなんだろう!?と思い作ってみました。

黒糖焼酎(お好みの濃さで水割りにしてください)の中にシナモンスティックやクローブなどのスパイス、オレンジやレモンなどの柑橘類とりんごなどお好みのフルーツ、甘さを足したい時はハチミツや砂糖を加えて熱します。

私はお酒が苦手なため出来るだけアルコール分を飛ばしたいので、沸騰した後に中火にして3〜4分ほど煮ました。(長めに煮たからといってアルコール分は完全に飛ぶわけではなく、少しは残りますのでご注意ください!)

入れるスパイスやフルーツによって味や香りが変わるので、自分の好みのスパイスなどを色々試してオリジナルのヴァンショー風黒糖焼酎を作ってみるのも楽しいですよ!

私はオレンジの代わりに奄美の「たんかん」という柑橘を入れてこれを作ってみたのですが、オレンジよりもあっさりした感じでおいしかったです!次は生姜やゆずなど和風なものを入れて作ってみようと思います。

奄美大島出身というと必ずと言っていいほど「お酒強いでしょ!?」と言われてきました。(きっとこれは島人あるある)

祖父も父も酒豪なのに、しかも酒蔵の孫なのにお酒が飲めないなんて、なんだかめちゃくちゃ損してるなぁ…と残念に思ってきました。でも飲めないなりに黒糖焼酎をどうしたらもっとおいしくできるかな!?飲みやすくなるかな?と工夫することが最近はとても楽しく感じます。お酒が好きな人も飲めない人も一緒にもっと「黒糖焼酎」を楽しめるようになったらいいのになぁと思います。そのためにレシピを研究して、また機会があれば紹介したいです。

お酒もご飯もおいしくなるこの季節、奄美の「黒糖焼酎」を飲んだり食べたりして一緒に味わってみませんか?

早いもので今年も残り2ヶ月。1年はあっという間ですね。
少し残念なお知らせです。来月12月と来年1月の2ヶ月は諸事情でちょっとお休みします。次回は来年の2月にまたお会いしましょう!

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