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ESSAY

料理下手な男、蒸籠をちょっと使う。

第1回めに取り上げたいモノは「蒸籠」

はじめまして、AKIPIN(あきぴん)と申します。39歳の教育機関職員をしている男です。結婚15年になる妻と、5歳の娘と、京都でつつましく暮らしています。

写真が趣味で、妻のごはんを中心とした暮らしの写真をSNSに投稿したりして楽しんでいます。

さて、この連載では、ぼくが生活の中で「モノ」や「食材」から感じた興味や喜びを、読者の皆さんにぜひ聞いてほしい!というスタンスで書き連ねていきます。

そして皆さんから温かい目で「よかったね」と目を細めてもらったり、場合によっては「お、まねしてみよう」などと思ってもらえたら・・・。

そんな高望みも抱きつつ、ほんのひととき、一緒に楽しんでもらえたら幸せです。

さて、第1回めに取り上げたいモノは「蒸籠」です。「せいろ」。「せいろう」と呼ぶ場合もあるようですが、わが家では「せいろ」と呼んでいます。

AKIPIN家の蒸籠

蒸籠は、沸騰したお湯から立ちのぼる蒸気がぐいぐい当たるように箱をセットして、その箱の中に入れた食べ物を加熱する道具ですね。

この蒸籠をぼくはいま「すごい!」と思っていまして、今回取り上げてみたいと思います。

あ、初回ですので自己紹介も兼ねて断っておきますが、ぼくは生活力がなくて不器用で、料理を作ることがほんとうに苦手です。

年に3〜4回ほど、妻がどうしても用事がある日に夕食のカレー作りを依頼されることがあるのですが、依頼された瞬間、「うん、いいよ・・」と言いながら、全身に一気に緊張が走ります。(たいへんな一日に急になった!)と。

たとえば、人参には火が通りやすいのか否か。野菜にも火が通りやすいのとそうでないのがあると聞いたことがあるぞ。玉ねぎの皮は一番外側のセロハンみたいな茶色を剥がしたあと、じゃあ黄緑部分は何枚か剥くのか。うまく剥けていないと、あとで妻が食べたときに「ウッ・・剥けてないで?」とか言われるのではないか。肉は生肉段階で野菜とコラボして炒めていいのか。生肉には細菌がついてるから何かに触れるのはよくないってわかるけど、コラボしながらも熱せられてるわけやからいいよな?そんでそれを炒める菜箸はどうしたらいい?生肉に少し触れるけど、箸についた細菌は炒めてるときに死んでると理解していいか?

“アクは取る”ってのはエヘン、知ってます。でも、「取るとよりおいしくなる」レベルなのか、「いちおう取っとけ」レベルなのか、「取らな死ぬ」のか?どのレベル??

どれもこれも、未だにわかっていないのです。だからぼくは、自分が料理をすることについてはものすごくおびえています。食べることはこんなにも好きなのに。

でも、料理をつくることにまったく興味がないわけではない。妻が作っている様子を見て、「おもしろいな」と感じる場面はいろいろあります。

そういう興味を丁寧に拾い集めれば、いつか料理をつくることへの苦手意識も減り、いつかナチュラルに台所に立って、妻に「なんちゃら肉のなんちゃら煮〜なんちゃらを添えて〜」みたいな料理をふるまう未来がチラ見くらいはできるかもしれない・・・この連載には、そういう狙いも込めています。ことに今しました。

正露で温める豚まん

さてさて、本題は蒸籠です。ちなみに間違えのないようにしてもらいたいのですが、二文字目は「龍」(りゅう)ではなくて「籠」(かご)ですよ、10秒前の自分よ。
「蒸す龍」やと思ってた・・・ずいぶんダイナミックな名前やなと・・・。

こんなぼくがなぜ蒸籠を「すごい!」と思っているのか。それは、「食パンがめっちゃおいしく食べられるから」なんです。

わが家の近くにはパン屋がなく、妻はよく、車で数十分走ってお気に入りのパン屋に行き、2斤ほどまとめて食パンを買ってきます。

買ってきた当日はそのままトースターで焼いて食べ、残った大半は冷凍庫で冷凍します。翌日以降は、食べる分だけ日々ちょこちょこ解凍しながら食べていきます。

で、その解凍の仕方なのですが、以前は、冷凍庫から食べる分だけ出し、それをトースターに入れ、トースターの中で「解凍させる→焼く」をすべてしていました。

これはこれで、パンの外側も内側も「サクッ」と焼き上がり、美味しく食べていました。この店の食パンの最大の特徴である「ふんわり」はだいぶ減りますが、冷凍保存するのだからやむをえない、そういうものだと思っていました。

しかし、あるときから妻は、凍った食パンをまず蒸籠で解凍してから、トースターでさっと焼く、という手順を踏みはじめたのです。

すると!

外側は「サクッ」としつつも、内側にはあの「ふんわり」がよみがえっているではないですか!「ふんわり」だけでなく、甘い香りまで。

その香りは、パン屋のレジで会計をするときに、レジの向こうの工房からただよってくる“できたて”のあの香りなんです。

パン屋で“できたて”の食パンを袋に詰めてもらったとき、袋に小さな水滴がつくなぁとは思っていました。つまりパンは、できたてからどんどん水分が飛んでいっているんでしょうね。

その飛んだ水分を蒸籠の蒸気が補うことによって、“できたて”の姿にまた近づけるのかもしれません。

「おいしい!ちょ、ほんんまにおいしい!」この声をぼくは何度あげていることでしょう。

さらに驚くべきことに、この料理下手なぼくが、その味を好むあまり、ときどき自分で勝手に蒸籠を使い、食パンを解凍して食べているのです。

これは画期的なことで、妻が大笑いしていました。それほど美味しいのです。

ネットで少し調べてみると、「パンを蒸籠で加熱する」という方法はけっこう多くの人がおすすめされていますね。

でも、「加熱したあとにトースターでサッと焼く」という食べ方をしている人は少ないのかもしれません。妻もぼくも、「ふんわり」も「サクッ」も両方楽しみたいのでこのやり方を好んでいますが、とことん「ふんわり」を味わいたい場合や、元々が固めのパンを使う場合なら、蒸籠で加熱するだけでいいのかもしれませんね。

ちなみに、このコラムではあえて「トースター」と書いてきましたが、今わが家には今トースターがありません。写真のように、コンロの上に置く焼き網か、ガスコンロのグリルで焼いています。

この食べ方に感動したことで、ふと、以前にテレビで「スチーム式のトースターで食べるとめちゃくちゃおいしい」と紹介されていたことを思い出しました。メーカーでは「BALMUDA」が有名どころでしょうか。

テレビで見たときはなんとも思っていませんでしたが、水分を補いながら焼けるのであればそれは確かに美味しいだろうなと、蒸籠を使った今なら思う次第です。

ちなみにわが家で使っている蒸籠は「照宝」。スマート感あふれる「BALMUDA」に比べれば渋さがすごいですが、おすすめです。妻はこれを使って食パンだけでなく、ごはんを温め直したり、肉まんを温めたり、蒸し野菜を作ったりしています。

この記事を読んでご購入されてもぼくには1円も入ってきませんが、みなさまぜひお試しください!

みなさま、こんなぼくの話を聞いてくださりありがとうございました。「もっとこんな方法もあるよ!」というアドバイス等ありましたら、ぜひお寄せいただけるとうれしいです。

それではまた、次回。

写真・文:AKIPIN(https://www.instagram.com/akipinnote/

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