「フレンチ・ビストロやイタリア料理店で、ワインリストからスマートにワインを選んでみたい。」「ワインショップやスーパーのワインコーナーで、自分好みのワインを迷わず選んでみたい。」……ワインを飲み始めた頃、そんな漠然とした憧れを抱いていました。皆さんも、そう思ったことはありませんか?
実際のところ、レストランの黒板に書かれたおすすめリストからグラスワインを “なんとなく” オーダーしたり、ワインショップで賑やかなポップとともに目立つ場所に陳列された売出し中のボトルを “なんとなく”購入したり……ワインを手に取るとき、いつも “なんとなく” がついて回りました。
ワインを心から楽しんでいる今だから言えるのは、「“なんとなく” でワインを選び続けるのはとてももったいない!」ということです。自分の好みにドンピシャリなワインを選ぶことができれば、ワインの魅力が何倍にも膨れあがります。好みに合わないワインにあたってしまうと、「ワインって美味しくない」とネガティブな印象を抱いてしまい、ワインの魅力が半減しかねません。お店の人を信頼しておすすめに頼るのは全然あり!ですが、よくわからないまま “なんとなく” オーダーするよりも、説明を聞いて納得してオーダーした方が、美味しいワインに出会える確率がぐっと高まります。
幸いにも脱 “なんとなく” を果たしたことで、私のワインライフは格段に豊かになりました。少しでもワインが好きだという全ての人に、同じように脱 “なんとなく” にチャレンジして欲しい……!そんな思いを胸に、今月から数回にわたり「脱 “なんとなくワイン選び”のヒント」をお届けします。
ワイン選びに “なんとなく”がついて回る理由
“なんとなく” の理由1:自分の好みを知らないから
自分の好みを探る簡単な方法は、少しでも「美味しい」と感じたワインの特徴を覚えておき、ワイン選びの際にお店の人(ソムリエ)に伝えるというものです。ソムリエはワインのプロなので、情報さえあればちゃんと的確なワインをおすすめしてくれます。それを繰り返すうちに、自分の好みが確立されていきます。
しかし、そもそもワインの特徴をどう表現したらいいのかわからない場合は、 “なんとなく” のコミュニケーションでワインを選ぶことになってしまいます。そこで必要なのが、ワインラベル・ワインリストの内容理解です。
“なんとなく” の理由2:ワインラベルやワインリストの内容が理解できないから
「ワインの特徴を言って」と言われると難しく考えがちですが、単純に「ワインラベルに書いてある内容」を言えばOKです。ラベルには、そのワインのプロフィールがぎゅっと詰まっているからです。レストランのワインリストにも、基本的にはラベル内容の要約が載っています。ラベル内容を理解すればソムリエとコミュニケーションをとることもできるし、ワインリストを解読することもできるのです。
問題は、ラベルに書いてあることが複雑でちんぷんかんぷん、読んでもよくわからない点です。自由なデザインの中に見慣れない外国語が並んでいることがほとんどなので、初めのうちは難しく感じてしまいがち。結局 “なんとなく” を脱皮することができなくなってしまいます。
ワインラベルに書かれている内容とは
例えば、とあるワインの表と裏に貼られたこちらのラベルをご覧ください。
ここにはざっくり、以下の内容が書かれています。いくつ読み取れるでしょうか。
ラベル表
- ワイン名
- ワイナリー名
- 生産年
- ぶどうの品種
- 栽培ポリシー
- 醸造ポリシー
ラベル裏
- 生産国、生産地域
- アルコール度数
- 香りや味わいの特徴
- 醸造方法のこだわり
- 内容量
これをレストランのワインリスト風にレイアウトするとこんな感じ。
重要度の低い内容を削ぎ落として日本語に訳しました。少しわかりやすくなりましたが、「何がこのワインの特徴なのか」はイメージしにくいですよね。
一般的なワインラベル(ワインリスト)に書かれている内容を書き出してみると……
- ワインの種類(赤、白、スパークリング、ロゼ、オレンジなどの種類)
- ワイナリー名・ワイン名(ここに甘口/辛口表示が含まれることもあり)
- 生産年(ぶどうの収穫年)
- 生産国・生産地域(国単位、県や州単位、地域単位など)
- ぶどうの品種(全部で1,000種類あるという説もあり)
- 香り・味わいの特徴(フルーティ、フレッシュ、花の香り、樽の香り、etc…)
- アルコール度数・ボディ(ライトボディ、ミドルボディ、フルボディ)
- 栽培や醸造のこだわり(オーガニック栽培など)
情報量が多すぎて、これを全て理解するのはとても大変です。しかし、ワインの特徴をつかむために押さえるべきポイントは実はもっとシンプル。読み取って欲しいのはこの4つです。
- ワインの種類
- 生産国/生産地域
- ぶどうの品種
- 香り・味わいの特徴
ワインの種類はあまり難しくありません。見たままずばり、赤か白かロゼかオレンジかスパークリングか、それだけです。
生産国/生産地域は一見複雑ですが、地球上のざっくりとした位置と傾向をつかむだけです。大雑把にいうと、寒い地域で造られたワインか、暖かい地域で造られたワインか……がわかればOK。
ぶどうの品種も同じく複雑に感じますが、いくつかのカテゴリーに当てはめて考えれば、実は割とシンプルです。世の中にワイン用のぶどうは約1,000種類もあると言われていますが、そんなに覚える必要は全くありません。
香り・味わいの特徴についても、よく使われる “型” を覚えてしまえば多くのワインで通用します。
細かいことはプロに任せればOK、あくまで「ラベルやリストの内容をある程度理解して、自分好みのワインを選ぶためのコミュニケーションに使う」レベルを目指しましょう。
最後に
次回からは “読み取って欲しい4つの項目” それぞれについて、具体的に解説していきます。一通り理解できたら、レストランやワインショップに並ぶワインの特徴を自力でイメージできるようになるはずです。ワインとの距離をもっと縮めて、豊かなワインライフを送りましょう。お楽しみに!
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