新型コロナウイルスの影響で外出自粛がさけばれる中、“おうち時間”を楽しむために試行錯誤をする人が増加。SNSには“#おうち時間を工夫で楽しく”などのハッシュタグとともに、クリエイティブな発想がたくさん投稿されています。中でも多くの注目を集めているのが“おうちご飯”。外食が難しい状況なので、おうちご飯のクオリティを高めようという動きが活発になっています。
Blaze A Trailでは“おうちご飯”をより豊かにするためのアイディアとして、“+ワイン”をご提案。いつものご飯にワインを追加することで、食卓に響く「美味しい!」のボリュームが上がること間違いなし。そのためのヒントを“+wine on the table”として、シリーズでお伝えしていきます。
「お酒を飲んで料理を引き立たせる」という楽しみ方
よく“酒の肴”という言いますが、“肴”の語源は“酒菜(さかな)”、つまりお酒を飲むためのおかずという意味です。“酒のつまみ(お酒を飲みながらつまむもの)”や“酒のあて(お酒にあてがうもの)”という言い方も一般的。これらはお酒にスポットライトを当て、料理を脇役として扱う言葉です。一方、若い世代を中心、甘いリキュールにオレンジジュースなどのソフトドリンクをあわせて作るカクテルも人気。アルコール度数が低く飲みやすいので、お酒に弱い人でも気軽に楽しめます。しかし、カクテルは単体で楽しむのに適した飲み物。たいてい料理とは切り離して飲まれます。
このように、日本では「お酒を飲むこと」が第一目的になりがち。主役はあくまでお酒で、必要に応じておかずを用意するという発想です。逆にアルコールが苦手という人は、お酒にまったく手がのびません。それもある意味、お酒を主役として強く意識しているからといえそうです。
しかしそんなわたしたちも、お酒の風味で料理が引き立つことをちゃんと知っています。煮物に料理酒を入れたり、牛肉を赤ワインで煮込んだり。そうやって、お酒を調味料としてレシピに取り入れています。それは「美味しい」を追求する人間ならではの、昔からの知恵です。ただし、お酒に熱を加えると、アルコールと共に一定の風味や香りが飛んでしまうのも事実。それが、調理にお酒を使う上での難点ともいえます。
そうであるならば、お酒を“飲む調味料”として食卓に並べてみるのはいかがでしょう。単なるアルコール飲料ではなく、風味と奥行きを料理にプラスする存在としてお酒を選ぶ、そして風味や香りを存分に含むフレッシュなお酒を舌の上で転がすことによって料理が完成する、そんな飲み方をしてみるのです。あくまでも、美味しさの幅を広げることが目的ですので、無理をしてたくさん飲む必要はありません。ほんの少しでいいからゆっくり味わってみてください。それだけでいつもの“おうちご飯”がぐっと味わい深くなるとしたら、試してみたくなりませんか。
食卓に“+ワイン”の提案
“飲む調味料”として食事にあわせるお酒の中で、特にオススメなのがワインです。その理由は「味」と「香り」に隠されています。
ワインの味わい
味覚の基本は「塩味」「甘味」「酸味」「苦味」「旨味」です。美味しいものには、この5つがバランスよく含まれています。また、これらの要素をすべて含む食材は、他の食材の味わいとたくさんの共通点を持つことになり、レシピに取り入れやすいといわれます。
意外かもしれませんが、実はワインには、強弱はあれど「甘味」「酸味」「苦味」「旨味」の4つが含まれているのです。さらに、硬度の高いミネラルウォーターのような「ミネラル感」や、口の中にアクセントとして残る「渋味」などの様々な要素が含まれていて、まるで“味わいの百貨店”のよう。“飲む調味料”としては、これ以上ない万能選手なのです。
ワインの香り
ワインには数百もの匂い成分が含まれており、その数は醸造酒の中でも随一。それらの成分が組み合わさることで、様々な香りを感じさせます。例えば“イチゴの香り”。原料はブドウのはずなのにイチゴの香りがするなんて不思議に思われますが、ワインに含まれる数多の匂い成分のうち特定の成分が同時に鼻腔を刺激したとき、確かにそれはイチゴの香りを連想させます。このような匂い成分の組み合わせが無数にあるため、ワインからは様々な風味が香りたつのです。
“美味しさ”とは味覚と嗅覚に支えられるもの。ワインを口に含むと様々なフレーバーが嗅覚を刺激し、料理に奥行きと複雑さをプラスしてくれます。イメージは、手作りお菓子のブランデーです。数滴垂らすだけでお菓子の香りが驚くほど豊かになる、あの感覚です。
ワインを楽しむ3つのヒント
ワインの起源は紀元前6000年までさかのぼります。つまり、すでに8000年の歴史があるということです。ワインはその間、ヨーロッパ諸国の文化に根差しながら愛されてきました。ヨーロッパの人々にとっては、気取ったうんちくやマナーなんて二の次で、手持ちのグラスに大胆に注いで、郷土料理と共にラフに楽しむのが一般的です。
一方、日本でワインが広く流通するようになったのはつい最近のこと。ワイン=リッチで堅い飲み物という印象が根強く、まだまだ食卓に並べることを躊躇する人も多数いらっしゃいます。その理由としてよく聞くのは、「料理との合わせ方がわからない」、「1本を飲みきる自信がない」、「選び方がわからない」という3つのハードルです。
料理との合わせ方のヒント
もっとも簡単なのは、色をあわせること。赤ワインなら赤い料理、白ワインなら白い料理にあわせるのが基本です。よく言われる「赤ワインにはお肉料理、白ワインには魚料理」というのも、“色の法則”にのっとったあわせ方。迷った時はこの“色の法則”を思い出しましょう。チーズに合わせるのは赤ワインというイメージが一般的ですが、意外と白ワインでも合います。これも“色の法則”です。
少しレベルアップしたい時は、料理とワインの出身地を揃えてみましょう。和食には日本ワイン、イタリアンにはイタリアワイン、フレンチにはフランスワイン、というように。不思議なもので、料理とワインは同郷のものどうしの方が、よい相性を示してくれます。
飲むペースと保存のヒント
「1本飲みきる自信がない」という心配の背景には「あけたら1本飲みきらないといけない」という考えがあります。でも、その必要はありません。ワインを食卓に並べるのは、“おうちご飯”の美味しさの幅を広げるためであり、飲む量を誰かと競うためではないのです。ワインはちゃんと蓋をすれば、冷蔵庫で1週間は保存可能です。「これ!」と決めたとっておきのワインを、毎日少しずつ楽しむのも素敵なことです。
スクリューキャップボトルの場合は簡単に蓋ができますが、コルク栓の場合はどうしたらいいのでしょうか。答えは簡単、抜いたコルクの反対側を瓶口に挿すだけ。その後、冷蔵庫で立てて保管しましょう。より鮮度を保ちたい場合は、市販の真空ポンプをお試しあれ。数百円で手に入るので、ひとつ持っておくと便利です。
ワイン選びのヒント
スーパーやコンビニの店頭にはたくさんのワインが並び、「種類が多すぎてどれを選ぶべきかわからない」という声を耳にします。ワインの勉強をした人ならまだしも、フランス語やイタリア語で書かれたラベルの内容を理解するのは至難の技。日本語がわからない外国人に「無濾過純米大吟醸」の意味を理解してもらうようなものです。
そんな時は無理せず、ラベル表記がわかりやすい日本のワインを選びましょう。「ワインといえばヨーロッパ」はひと昔前の話。いまや、日本ワインのクオリティは世界で認められはじめています。
しかしワインを飲み慣れていない人にとって、たとえ日本ワインであってもなかなか選びにくいというのが実際のところではないでしょうか。でも、ご安心ください。Blaze A Trailの新企画“+wine on the table”では、ぜひ食卓に並べてほしい日本ワインのオススメを私が毎月ご紹介していきます。ご家庭のいつもの献立がより美味しく引き立ち、ラベルデザインにもセンスが光るものをピックアップします。
大切なのは食事を楽しむこと
「ワイングラスはどうすればいいの?ワインは冷やしていいの?ブドウの品種なんてよくわからないし、横文字が多いし、ワインってめんどくさい!」
もしそんな風に思っているとしたら、一度肩の力を抜いてみましょう。グラスは家にある普通のグラスでもOK。そこに少量注いで、ゆっくり口に含みながら、お料理との相性を楽しんでみてください。細かく温度管理をする必要はなく、冷蔵庫で冷やすだけでいいんです。ブドウの品種なんて覚えなくていいんです。大切なのは「いつもの食事にワインをあわせたら美味しさが膨らんだ!」という経験なのですから。どんなに知識があっても、そのとっておきの経験には勝りません。
もちろん、ワインをより美味しく味わうために知識を活用して工夫できたら最高ですが、兎にも角にも、まずはリラックスして“おうちご飯”を楽しみましょう。
コメント